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 チェコスロバキア侵攻



1933.1.30ヒトラー政権獲得
1936.3.1ラインラント進駐
1938.3.13オーストリア併合
1938.9.30ミュンヘン会議
1938.10.2ズデーテン併合
1939.3.15チェコスロバキア解体

ミュンヘン会議 (ズデーテン併合)

 ドイツと国境を接するチェコスロバキアのズデーテン地方は古来よりドイツ系住民が大多数を占めている地域である。 ベルサイュ条約の民族自決を逆手にヒトラーの「戦争も辞さぬ」という恐喝でズデーテンの併合を要求。戦争を恐れる英仏はミュンヘン会談でチェコに譲歩を強要したので、ドイツへの割譲がなされ、ヒトラーの外交の勝利となった。
英仏はヨーロッパの現体制の維持が外交の基本路線で、内政に問題を抱え、海外植民地を保持が優先で戦争までして中欧に係わる気はなかった。
ミュンヘン協定は英仏のヨーロッパからの後退であり、ロシア国境までドイツの勢力圏と認め、ドイツに経済的に依存のバルカン、英仏後見のチェコ、ポーランドがドイツの傘下に組み込まれるのを了承したも同然であった。ソ連に対する防共としてのドイツが必要であり、防波堤の役と経済活動の活性化がドイツに期待されていたのである。

註1) チェコ人の国ボヘミア・モラビアでは古来より東方移民のドイツ人を受け入れて来て、ズデーテン地方はドイツ人が多数を占めていた。 1938年3月オーストリアがドイツに併合されたことで、チェコは三方をドイツに囲まれ、国防は危機を生じていた。列強の支持を受けられない事実を知って、チェコは、同年10月1日、この地方をドイツに引き渡すことになる。

註2) ズデーテン地方はドイツに併合されたので、以後第二次大戦終結までドイツ本国切手が使用される。ナチス党の蠢動があり、ミュンヘン会談の前後からチェコスロバキアの切手に”Wir sind frei!”の文字と鉤十字を非公式に加刷したものをドイツが完全に併合をするまでプロパガンダとして使用していた。



ボヘミア・モラビア (チェコスロバキア解体)

 1939年3月ドイツは突如チェコへ軍事進駐する。ベルリンへチェコのモーハ大統領を呼びつけ、恫喝しボヘミア・モラビアのドイツの保護領化を承知させる。
チェコはドイツに備え国境を強化していたが、ズデーテンがドイツに併合され、その軍事要塞などがドイツ領となって、軍事的には弱体化していた。ズデーテンは石炭の備蓄があるくらいで軍需物資の供給元としては満足できるものではなかった。
チェコは東ヨーロッパ屈指の工業国で資源国でもあった。軍備拡充の財源を求めるには他国に侵略しその資産を奪い取ることも選択の一つであった。 ドイツは急激な軍備拡大により国内経済は逼迫しており、そのため外国より鉄、有用資材を購入するための外貨準備金は底を付いていた。
軍事占領後、チェコの国庫に蓄えられた保有金、これこそヒトラーの求めるものであった。国庫の金と機械化された軍隊は、軍備拡大と次なる戦争への準備の前進であった。チェコを支配下に置いたことで、ドイツは無血で領土と資源、人口、工業を大幅に拡大。
 占領地域はボヘミア・モラビア地区として総督府が置かれ、保護領化からドイツが敗北する1945年春までボヘミア・モラビア専用切手が発行される。

チェコスロバキア切手の継続使用期間
ドイツ占領直後、ボヘミア・モラビアの切手が発行されるまでチェコスロバキア切手が継続使用される。有効期限は1939.12.15、切手の販売期限は11.30。この期間( 1939.3.15-7.14 )はフォアランナー Voräufer である。

 

ボヘミア・モラビア用加刷切手の発行。
 1939.7.15、旧チェコスロバキア切手に"BÖHMEN u. MÄHREN"と"CECHY a MORAVA"の文字列を加刷、1939.7.15 19種。

  

ボヘミア・モラビア正刷切手発行。
 国名表示をボヘミア・モラビアとする正刷切手が1939年7月から発行される。しかし、1942年7月には国名を"DEUTSCHES REICH" と"BÖHMEN u. MÄHREN"との併記した切手が発行され、国名表示ボヘミア・モラビアの切手は使用期限1942年12月31日とされた。

  

国名表示が「ボヘミア・モラビア」と「ドイツライヒ」の併記へ
 1942年には国名を"DEUTSCHES REICH"と大きく表示したヒトラー肖像をデザイン切手が発行され、以後同様な表示で切手発行がなされる。ドイツの敗戦までこれらは使用された。

  

註1)下に表示の使用例はドイツの占領下に入った直後差し出されたドイツ宛はがき、チェコスロバキアの切手はボヘミア・モラビアの切手が発行されるまで継続使用された。有効期限は1939.12.15である。この間の使用をフォランナーと称し、このカバーはその使用例カバー。


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