ベルリンの歩き方(3)


第3回 ベルリン12局

ベルリンでは、実質的な中央郵便局でありかつ郵趣窓口のある12郵便局を外すわけにはいかない。最寄りのZoologischer3arten駅は、DBのいわゆる東西線上にあり、かつての西ベルリン時代からつい最近までベルリンの中央駅的存在だった。しかし、新しくいわゆる南北線(Hamburg-Berlin-Prag-Wien方面、Leipzig方面のICE、REは全てこちらに移された)が出来、その交差点となった中央駅ができてからは、Zoo駅はICEも通過する駅になってしまった。
東京で言えば統一前は東京駅クラス、統一後は品川駅クラス、そして現在は京浜東北線に相当するS-Bahnと東海道線に相当するRE(RegionalExpress)しか停車しない新 橋駅クラスに落ちてしまったといったところである。そのため構内の人の数は以前に比べて格段に少なくなっている。郵便局も統一後数年後までは構内にあったが、現在は廃止されている。
さて、Zoo駅を下車し高架下の大通りHardenberg StrasseをPotsdam方面に向かって右側に歩いていく。進行方向左側の歩道を進んでいくとSteinPlatzがある。左3方向の道が分かれており、付近に同名のバス停もあるのですぐわかる。そこを斜め左前方に向かうGoethe通りに進んでいくとすぐ右側に12郵便局がある。日本の郵便局のように大きな看板があるわけでもなく、建物の前にポストとATM切手の自動販売機があるだけなので、注意しいないと気づかずに通り過ぎてしまうかもしれない。中に入ると一番奥に郵趣窓口がある。かなり前に発行したものまでショウケースに並べてあり購入することができる。また、風景印も押印してもらうことができる。その場で押印してもらう時は、いつ行っても、どの局員も丁寧に、しかもどう押印するかまで確かめながら取り扱ってくれる。しかし、その後郵瀬したところ、ものの見事にいい加減な押印で返送されて、がっかりし たことがある。全体的に混雑していることはないが、特に郵趣窓口では、客も局員も非常に動きがよく言えばゆったり、悪く言えばのろいので、客が2人程度並んでいたら、予想以上に待つことになることを覚悟した方がよい。
ドイツだけでは無く、ヨーロッパ全体でいえることであるが、窓口と言っても非常にスピーディーな場所と、異様にのんびり している場所とがある。同じ郵便局でも普通の窓口は回転が速く、局員の対応も素っ気ないが、郵趣窓口や駅の指定券売り場は客も職員も納得のいくまでじっくりと対応している。日本と比べて、よく言えばメリハリがきいているというということかもしれないが、これも文化の違い、人々の大事にしていることの違いともいえるかもしれない。
12郵便局の普通の窓口は、結構並んでいても上記のように比較的早く順番が回ってくる。そのため、この窓口での普通の丸印の押印は粗雑である。通常の送達であれば良いという人々向けなので、その役割に徹しているのだろう。これら窓口が並んでいる前方に、客が腰を下ろして、切手を貼り付けたり、封筒、書類に記入するテーブルがある。日本でも東京中央郵便局、渋谷局などにもこの様な席があるが、12郵便局の方がはるかに狭い。人口規模が同等の横浜中央郵便局と同じくらいの広さである。ちなみに、日本では壁際に客が立ったまま使うテーブルがあるが、ドイツでも、第2回で紹介した局やベルリン・テーゲル空港内、フランクフルト中央駅内、フランクフルト空港内など他の郵便局では、私の見た限りではその様な立ったまま使うテーブルのみだった。やはり、中央郵便局ならではのサービスかもしれない。帰りは、SteinPlatzまでもどり、大通りに出たら、右に曲がり元来た道を引き返して、Zoo駅にもどる。
さて、SteinPlatzで左に曲がって歩いていくとU-Bahnの駅もあるErnst-ReuterPlatzに出る。もし、空腹感があったならば、途中にあるHardenbergというカフェによることをおすすめする。旅行ガイドブックにものっている店で、値段が比較的安いが、カフェという業界からは信じがたい大量の「食物(しょくもつ)」が出てくるので覚悟しておいた方がよい。中は明らかにドイツのインテリ風の客ばかりである。地理的に、近くにはベルリン工科大学やベルリン芸術大学があるためだろう。
12郵便局はベルリンの中でも文化的地域にあるのである。Ernst-ReuterPlatzはかなり広い広場で、右に曲がると6月17日通りだ。1953年のベルリンの労働者によるゼネストがソ連軍によ弾圧されたことに抗議して、当時の西ベルリン市がブランデンブルク門から西に伸びるこの通りを「6月17日通り」とした。左に曲がるとBismarck通り、斜め前方の通りを進むと観光名所でもあるCharlottenburg宮殿にむかうOttoSuhrAllee通りである。12局によったあとは、この宮殿に向かうのもよい。前述のSteinPlatzのバス停からはM45系統に乗れば宮殿前まで1本で行ける。散策したい方は、地下鉄駅があるErnst-ReuterPlatzからU2(地下鉄2号線)でSophieCharlottePlatz駅まで行き、宮殿までの通りを10分ほど歩いていく。ガイドブックではU7でRichardWagnerPlatz駅下車と書いてあり、確かに近いが途中の通りの楽しさ賑やかさは前者よりかなり劣ると思う。 (S.K.)

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