第1回 | ヒンデンブルク切手とは |
第2回 | ヒンデンブルク切手の年表 |
第3回 | ヒンデンブルクとはどういう男 |
第4回 | ヒンデンブルク切手登場 |
第5回 | メダル型シリーズ (1) |
第6回 | メダル型シリーズ(2) |
第7回 | メダル型シリーズ 鉤十字透 |
第8回 | メダル型シリーズ 鉤十字透 続き |
第9回 | メダル型シリーズ 鉤十字透 続きの続き |
第10回 | 占領地消印について |
第11回 | オステン加刷 |
第12回 | エルザス・ロートリンゲン加刷 |
第13回 | ルクセンブルク加刷・他 |
6.メダル型シリーズ(鉤十字透) 1933年12月4日に新額面の1pfが発行された。用紙が変更され網透が鉤十字透となり、その後逐次今までのものも新しい透かしに変わって登場する。 処で鉤十字(ハーケンクロイツ)といえばナチスの専売特許みたいに思われがちだが、トロイやエジプトの古墳から発掘されたりしているというし、近世ではバルト諸国の紋章にも使われた幸福のシンボルマークだという。 ただし皮肉にもドイツ国民にとってはとんだ幸福のシンボルマークとなったのだが…。 それは兎も角、この鉤十字透の新シリーズは新額面である1pfを除き発行日が明らかにされていない。ミッヘルは次のように発行月のみ掲げている。 |
1933年12月4日 | 1pf |
1934年1月 | 3pf |
1934年2月 | 4pf、5pf、6pf、8pf、10pf、12pf、30pf、40pf |
1934年4月 | 15pf、20pf、25pf |
1934年5月 | 60pf |
1934年9月 | 50pf、100pf |
1936年2月 | 80pf |
これらのシリーズはミッヘルでは512〜28、スコットでは415〜31で額面の低額から高額へと額面順に一括して記載されている。 このシリーズは次の普通切手シリーズであるヒトラーシリーズに1941年ごろからひきつがれるわけであるが、この間8年以上発行され、しかも敗戦の45年まで使用が可能であったから、戦前の普通切手としては一部のゲルマニアシリーズを除けば、最も寿命の長い切手であった。それだけに多数発行され、しかも精巧無比を誇るドイツの印刷技術のせいか、定常変種も少なく単片で見る限り全く面白みがないとされ、先ずドイツ切手の駄物のトップクラスとされてしまったわけである。従って、値上がりの烈しいドイツ切手の中にあってセットでも、未使用25マルク、同ヒンジなし140マルク、使用済み6マルク(82年版)と極めて安い。(但し、日本では未使用完全セットはあまり見かけなくなった。) 永年発行されつづけたので使用済みをかき集めてみると色調の変化があるようにもみえるのだが、カタログにとりあげられているのは唯1種25pfkornblumenblau とgraublau があるだけで、これもミッヘル専門版にだけ採録されている。 なお定常変種としては網透と同じく8pfにopen Dがある。 カタログ価は使用済み5マルクと安いのだが、値段の割には手に入り難いようである。 また3pfと10pfに横透があることになっているが、これはopen Dよりも遥かに入手難である。カタログ価も3pfが700マルク、10pfが35マルクと高い。(いずれも使用済みの評価) |